Re:co Symposium #4 "The Coffee Price Crisis" by Ric Rhinehart

September 10, 2019

昨年夏から欧米ではコーヒーの取引価格や価格の透明性についての議論が広く行われています。

倫理的な消費行動や価値観が根付いている欧米の事業活動は、小さいながらもサステイナブルなエコシステムを少しでも作っていくという一般消費者とのシナジーを生み出しているのではないでしょうか。

 

本日は、以前もご紹介したSCA理事長Ericさんの引退前最後のプレゼンテーションをご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のテーマはCoffe Price Crisisです。

 

コーヒー豆のマーケットプライスは2016年年始を底に秋口にかけて上昇基調であったものの、2016年11月からは再び緩やかな下落が始まります。そして、2018年8月にいよいよ1USD/lbを下回ってしまいます。

 

SCAのリサーチの結果、平均の生産コストは1.4~1.8USD/lb、つまり1.14UDA/lbを最低水準としてこれを下回った場合、生産者はコストを回収することすら難しくなってしまうということです。

では、現在なぜそのような状況になってしまったのか、今後どういった方向に進むのか、プレゼンテーションを通して、考えてみたいと思います。

 

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まず、初めにEricさんはこう述べています。

 

農作物であるコーヒーの価格が、先物市場で決められている以上、取引価格が上下することは大きな問題ではなく、他の作物同様に起こりうることである。

では、現在のコーヒー豆のマーケット価格が下落していることは大きな問題ではないと言えるのかというと、そうではない。マーケットの中では、自然のサイクルであるが、現実では、何千、何万もの人々がコーヒーで生計を立てており、かれら生産者にとっては大きな危機なのです。

そして、コーヒー産業に関わっている人々、特に我々はこの産業が再び健全な状態になるように考えなければならない。

 

価格下落の要因として2つの事実を確認しておく必要があります。

まずは、最も大きな影響を及ぼす生産国としては、ブラジルとベトナムの2か国であり、その2か国で全生産量の半数以上を占めているということ。

そして2つ目は、コーヒー豆の生産量と消費量が逆転しはじめていること。つまり供給過多による価格の減少が2017年から起こり始めているのです。市場経済の需給の関係を考慮すれば、それは起こりうるものであって、過剰供給を解消すれば(しばらく生産をストップすれば供給量は減少し)再び価格は上昇するでしょう。

 

ただし、他の方法としては、価格競争力を高め、マーケット価格によらない価格決定機能を身につけることがより良い解決策になるはずです。

 

では、どのようにするのか。

それは、我々がコーヒーを考えるときにバリューチェーンを意識し、伝えること。その結果、適正な価格での取引が生まれてくるでしょう。

そういった取り組みをしている事例を3つほどご紹介します。

1つは、メルボルンにあるSEVEN SEEDS COFFEE ROASTERがコロンビアの生産者と強いパートナーシップを築き良好な関係を維持しています。彼らはコーヒー豆の販売パッケージに生産者情報やコーヒー豆の取引価格(Farmgate Price / FOB)についての情報をしっかりと記載しています。(そうすることで、消費者にもコーヒーの価格メカニズムが少しずつ浸透していくのではないでしょうか。)

ここでとても重要なことは、従来の取引ではバイヤーとセラーといった中間業者を挟んでいましたが、このコーヒーショップのように直接生産者と対話をすることで、従来よりも透明性の高い取引が実現し、消費者へも情報を還元することができます。

 

続いて、Sustainable Harvest(国際NGO / https://www.sustainableharvest.com/ )の取組みでユニークなものがあります。

通常、コーヒー豆の取引契約書では、バイヤーに価格(為替の約定価格)の決定権(オプション)を設定するものが多いけれど、彼らは売手に価格の決定権を設定しています。多くの人は、リスクを感じるであろうが、リスクは別のところでも回避できます。(そして、そうすることで生産者、売り手の利益の最大化にもつながるでしょう。)

 

最後に、価値と価格のバランスには十分に意識を向けた方がイイということ。価値の高いものを低価格で購入することができ、高値でさばければマーケティングがうまかったとなるかもしれないが、きっとどこかでほころびが出てくるであろう。価値の低いものを高値で買う必要はないが、価値に見合った価格を支払うことで、生産者への還元も可能となります。

 

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プレゼンテーション内には出てきませんでしたが、アメリカ ワシントン州のOlympia Coffee Roasting.Coが昨年度から独自のダイレクトトレードを始めているので、少しご紹介させていただきます。

彼らは、年次報告書で生産者/輸出業者/輸入業者/生産者の手取り/買値(FOB/FOT)/購入額をレポートしています。ここまで透明性を明確に示しているのは、とても素晴らしいことですね。

その中で、今後は、SCA(Specialty Coffee Association)のカッピング基準で85point以上のコーヒーを、通常のフェアトレードプレミアムの2倍相当にあたる3.5USD/lb以上での購入を宣言しています。加えて、以下の点を今後の指針として挙げています。

〇透明性を確保するために、生産者と直接価格の合意を行うこと。

〇すべての従事者(ピッカー、精製業者、農園労働者など)への最低賃金の定期的に農園主や農協の委員会と取り決めること。

〇安全な労働環境を提供する農園とのみ取引を行うこと。(暴力や危険な労働環境を排除し、清潔な水、健康な食事へのアクセスを確保すること。)

〇1年に1度は生産地を訪れ、フィードバックを行い、より品質を高め成長の機会を提供すること。

 

従来のフェアトレードプレミアという概念は、あくまでも市場価格に加算されるプレミアムであり、コーヒーの品質もスペシャルティグレード以下のものが対象となり、かつ認証の対象が農協であるために、それより先に小規模農家、ピッカーなどへはなかなか還元されにくい状況にありました。また、生産環境を改善したり、品質を改善するインセンティブにはつながらない認証内容のため、それを元に持続的な発展というものは難しい印象があります。

 

今回のOlympia Coffee Roasting.Coの取組み以外にも同様のまさにダイレクトに関係性を築いて、生産者のインセンティブを高め、かつ直接還元できるスキームはいろいろあるのかも知れません。そういった取り組みと並行して大切になってくるのがPrice Transparencyという概念です。

 

次回は、この考え方、取組みについてご紹介していきたいと思います。

ヨーロッパではこの概念にそって明確に事業を進めている小規模の新規インポーターが生まれていますし、一般の人々を交えたトークセッションも行われています。

 

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今回はEricさんのプレゼンテーションをもとに、新たな取引形態で透明性を担保した取引を進めている事例をご紹介しましたが、次回は、価格の透明性についての勉強会や情報発信が進んでいる欧米の取組みについてご紹介したいと思います。

 

今のところ、日本国内でそういった勉強会や活動について、聞いたことがないのですが、どなたかご存知ですか?もしないのであれば、勉強サークルのようなものを始めてみたいと思っています。ご興味ある方是非ご連絡お待ちしております。

 

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