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Producing Countries News Letter ~Africa~

THE COFFEE TIMES

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HONDURAS

Vol.

02

2019

PACAYAL COFFEE WOMAN’S HANDS

About Honduras

・人口:927万人(2017:世銀)
・首都:テグシガルパ
・言語:スペイン語
・主要産業:コーヒー、バナナ、 パーム油、養殖エビなど
・名目GDP:229.8億ドル(2017:世銀)
・経済成長率:4.8% (2017:世銀)
・失業率:6.7%(2017:国家統計院)

Coffee in Honduras

・生産量(2018/19):745万袋(各 60kg袋)estimate
・生産国ランキング(2018):第6位 (中米で1位)
・国内でのコーヒー産業:『輸出額 がGDPの約11%に相当するコー ヒー豆の栽培は,ホンジュラス国 民にとって貴重な雇用の機会を提 供しています。ホンジュラス政府は, コーヒー豆の生産拡大に向け取り 組んでいますが,品質の改善も大 きな課題となっています。』 (外務省webより)
 
ホンジュラスのコーヒー産業は意 外にもまだあまり知られていない事 が多くあります。 まず驚くのは生産量です。
 
中米のコーヒーといえばグアテマ ラやコスタリカを思い浮かべる方 が多いかと思いますが、実はそれ らの国々よりもホンジュラスの生産 量の方が多いということです。 そして、コーヒー産業に従事してい る人口は約1.1百万人ということで、 多くの雇用機会を生み出していま す。
 
これらにも触れながら、ホンジュラ スにおけるコーヒーについてお話 を進めていきます。
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まず、ホンジュラスのコー ヒーがどういった経路を辿っ てきたのかについて、定か なことはわかっていませんが、 多くの人々は1700年代後半 にはスペイン人入植者により 持ち込まれていたと考えて います。確かな文献にみら れるのは1800年代前半には 小規模農家によって少しず つ栽培が進められていたと いうことです。 その後も大統領などはコー ヒー栽培を推し進めようとし たものの、短期間で身にな るバナナ栽培がより盛んに なり、あっという間にバナナ の生産が主流となりました。
加えて、1900年代後半まで 小規模農家が栽培を続け ていたものの、1998年にハリ ケーンにより生産量の約80% が被害を受けることがあった り、一部の生産者はより高値 で販売できるグアテマラへ コーヒーを持ち込むなど、い くつか産業が後退する要因 に見舞われてしまいました。
そんな中、1990年代後半に ようやくコーヒー産業に改善 の兆しが見受けられました。 政府はコーヒーの輸出に関 税を掛け、その税収をもとに コーヒー生産地への道路の 舗装を進めました。 加えて、コーヒー生産者へイ ンセンティブを付与すること で、生産量及び品質の面で 改善が見受けられました。 その当時、中南米の生産国 はすでに高品質なコーヒー を多く供給しており、その中 でホンジュラスはクオリティ コントロールに不安のある汎 用品として認識され、低価 格での取引がなされていま した。この現状を改善するた め、2000年にIHCAFE (Instituto Hondureno del Cafe)ホンジュラス国立コー ヒー協会が設立されました。
ROUND POINT CAFE 4-2-7 Sakaemachidori, Chuo-ku, Kobe, HYOGO, Japan P1
IHCAFEは、高品質なコーヒーマーケットを 発達させるため、設備面の改善を行い、ま た特には小規模農家を中心として、改良品 種の配布や技術面でのサポートなどを行っ ています。
また、コーヒー協会はホンジュラスでのカッ プオブエクセレンス(コーヒーの品評会)の開 催にも重要な役割を果たしています。
 
ホンジュラス中央銀行のレポートによると、 2015/16クロップに関していえば、輸出品目 の中で最大の農作物であったものの、低価 格そしてブレンド用のコーヒーという低評価 により、生産者としても十分な資金を稼ぐに は至りませんでした。
 
品質の話としては、乾燥工程がホンジュラ スのコーヒーがスペシャルティコーヒーの生 産地になりうるためには一番難しいハードル でした。天候が原因となり、ほとんどの生産 者は機械乾燥に頼っています。それ故、水 分含有量が不安定になり品質が安定しなく なります。
 
一方で、Cup of Excellenceのような品評会 は現地の生産者の方々に、新しい品種の栽 培を意識付けたり、技術や設備の改善を促 しています。
 
このように、コーヒー栽培の歴史は長いもの の、スペシャルティコーヒーとしてはまだ発 展途上ともいえるホンジュラスですが、国と してはどのような構造になっているでしょうか。 そのあたりに触れていきたいと思います。
 
ホンジュラスの経済規模はGDP229.8億 USD(2017年)で、1人当たりGDPでは 2,480.13USD(2017年)、経済成長率4.8%前 年度比(2017年)という状況です。
 
中米では、メキシコ(11,499.2億USD)、プエ ルトリコ(1,050.3億USD) 、キューバ(871.3億 USD)、ドミニカ(759.3億USD) 、グアテマラ (756.2億USD) 、パナマ(618.4億USD) 、コス タリカ(570.6億USD) 、エルサルバドル(248.1 億USD)の次にくる規模であり、政情不安や 昔からの治安の悪さで経済的にもあまり成 長ができていない状況です。
ホンジュラスの初等教育の就学率は1970 年に83%だったのが、82年に100%を超えま した。その後は100-110%で推移していたも のの、2012年に再び100%を下回ってしまい ます。現在も依然として90%台を推移して います。(THE WORLD BANK webより)
 
次に国際貧困ライン(1日1.9ドル以内で生 活を強いられる人口)を基準に考えた時の 貧困率は2001年63.7%から2017年に64.3% へ微増しています。2007年には58.2%まで 減少していたものの、その後上昇傾向に あります。
 
世界銀行の予想では、2017年の年4.8%の 経済成長率を最後に、2018年以降2021年 までは年3.8%程度に落ち込み、安定してい ます。
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このように、教育、経済共にまだ課題が多 そうなホンジュラスですが、加えて2018年 後半からは、アメリカを目指し集団移民が 大移動を始めました。 集団移民の背景には、長く続く政治の腐 敗や食糧難、農作物の不作による農業従 事者(人口の約40%)の生活苦があります。 その他、殺人数の多さなどの治安要員も 大きく影響しています。
そういった同国内で、少しでも社会がよくな るようにと事業を展開している社会企業家 や団体があります。 ちなみに、World Bank Doing Business 2016 Indexによると、ホンジュラスはビジネ スの取組みやすさで行くと、189か国中110 位であり、かつGlobal Entrepreneurship and Development Instituteの起業、経済、 福祉成熟度についてのランキングでは132 か国中105位といずれも成熟しているとは いえません。
ROUND POINT CAFE 4-2-7 Sakaemachidori, Chuo-ku, Kobe, HYOGO, Japan P2
少し調べてみると、若者、女性、ITにフォーカ スした取り組みをしている起業家、団体が多い ことに気が付きました。そのうち一部にはなって しまいますが、少しご紹介していきます。
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≪Connect Cowork≫ co-working space
Paulette Talaveraが2014年に創業した Connect Coworkは、首都テグシガルパのアメ リカ大使館から数ブロックというとてもいい立地 にあるコワーキングスペース。 起業家やインキュベーター、開発者などとの交 流ができるとても素晴らしい場所になっているよ うです。すでにこのスペースをきっかけに生まれ たスタートアップ企業も複数あるようです。
≪Startup Weekend San Pedro Sula≫ event
Ricardo Iriasは週末のイノベーション・起業家 カンファレンスの主催者です。このカンファレン スでは、多くの若者に対して、今あるアイデアを 現実のビジネスとしていくにはどのように進める べきか、具体的にビジネスマインドを持ったプロ ジェクトのサポートをしています。 リカルド自身、理工大学で起業・戦略について の学者をしていると同時に、ラテンアメリカでの 電子商取引サイトsube.laの創業者でもあります。
≪CEmprende Honduras≫ event
特に地方エリアや農業セクターへ取組む起業 家たちのコミュニティを有機的につなげる役割 を担っています。また同様に月に一度テグシガ ルパにて交流会を開催するなど、コミュニティ の創出に貢献しています。
≪国際NGO GOAL≫ empowerment women
ホンジュラスの生活において、Pulperia(住居 の一部を売店として活用する小売店)は必要不 可欠であり、ビジネスとしてのポテンシャルがあ ると考えられます。主に女性が営んでいます。 この小売店では生活必需品や食料品など幅広 いものが取り揃えられていますが、それゆえに それぞれの店舗で同様の商品を扱っており、ビ ジネスの競争になっています。 そんな中、国際NGO GOALはこの小売店の実 態を調査し、それぞれの店舗の業績を向上さ せ、持続可能なものにすることを目的としてい ます。 調査の結果、1つや2つの商品カテゴリーに特 化して販売している店舗の方がより高い収益率 を示していました。
その結果をもとに、一定の地域内の店舗に おける取扱商品、カテゴリーの選定を進め、 地域のビジネスの持続可能性を高めていこ うとしています。
同時に、販売におけるトレーニングや知識が なければ、それもビジネスの障害となるため、 低コストで使いやすい教育アプリを大学と企 業との連携で開発を進めています。この教 育アプリに関しても、インターネットのオフラ インでも使用可能なように、地域の特性に合 わせることが必要になってきます。
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今回のケースは、NGOが競合マーケットの 中間支援として立ち回り、それぞれのビジネ スオーナーにとってwin-winの関係を築い て地域の経済を回していくという実例として、 とても分かりやすいですね。
続いては、今回ご紹介するコーヒー豆の生産 を取りまとめている農協 PACAYAL COFFEE について少しご紹介します。 2014年に設立されたパカヤルコーヒーは、現 在150以上の農園をまとめるようになり、そのう ち女性農園主の農園が40%を占めています。 同社は生産者とバイヤーのダイレクトビジネス、 女性や子供への福祉、環境保全を推進して います。 彼らの努力は多くの認証により裏付けられて おり、例えばUSDAやEUのオーガニック認証、 UTZ認証、ジェンダーイコーリティを証明する CON MANOS DE MUJER認証、フェアトレー ド認証などを有しています。 また、パカヤルコーヒーからは品評会での上 位入賞農園も輩出するなど、高品質なコー ヒーの生産地としても国内外から評価を受け ています。
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ENVIRONMENTAL RESPONSIBILITY
同社は文化的尊厳や環境保全、そして生産 者とその家族への福祉へ責任ある管理運営 を目指しています。
 
その一環として、ソーシャルプロジェクトを立ち 上げており、低収入の生産者の子供たち向け 奨学金制度や学校への物品サポート、障害者 支援団体へのサポート、女性の活動支援など、 サポート分野は多岐にわたります。
他にも、環境保全として以下の取組みを進め ています。
〇コーヒーの適切な管理:コーヒーの精製時 にでるパルプや殻については、環境汚染を避 けるため有機肥料として加工され使用されて おり、また精製処理に使用した水は石灰を使 用してPhを調整した後、さび病対策の有機葉 を製造するためのタンクに貯められます。一方、 パーチメントコーヒーから取られた殻はコー ヒーの乾燥施設の炉で燃料として使用され、 森林伐採の削減に努めています。
 
〇環境保全の問題解決にむけて取組む学生 への奨学金制度:持続可能な農業を進めるた め、環境問題に取組む学生に奨学金を付与し ています。パカヤルコーヒーの生産者の子供 の一部は、コスタリカの大学で学び、知識経験 を生産者と学生相互で共有することができて います。
WOMEN'S HAND
同社の中にはそれぞれコンセプトを明確にした商品 ブランドがあり、『さまざまな作物や農産物、加工品、 手工芸品などにおける社会的および生産的基準を 確立するための、ジェンダーイコーリティを認める認 証』CON MANOS DE MUJERを有した、女性農園 主のみの農園から集めたウーマンハンズ。
 
今回のロットは、15農園すべて女性農園主であり、 農園で働く労働者としても極力女性の雇用を積極 的に行っています。
近年、中米では経済状態が不安定になっ てきている国も多く、また長く続く不景気や 劣悪な治安環境により、アメリカへの移住 を決意する人々が増えています。アメリカ を目前としても強制送還されるケースもあ るものの、自国内では男性はおろか、女 性の就労先探しは難しくなっています。 そういった中、女性の社会進出を目指し、 女性の雇用を積極的に行っていることは 素晴らしいことです。
女性による繊細な作業から生み出される、 爽やかなアロマと優しい甘さ、そしてすっ きりとした後味を是非お楽しみください。
(商品情報)
●地域: ラパス県チナクラ、サンホセ、マルカーラ地区
●生産者:PACAYAL Coffeeの農園の内、 女性農園主の15農園
●標高:1,400m
●精製方法:ウォッシュド
●品種:カツアイ、ブルボン、ティピカ、レンピラ、パライネマ
●香り:ミルクチョコレート、ライム、キャラメル
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