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Re:co Symposium #3 "Beyond Wet and Dry: Breaking Paradigms in Coffee Processing" by Flavio

前回まではコーヒー業界でのトレンドや今後の動向について話をご紹介しましたが、今後の生産量の維持や品質管理について具体的にどのような取組みがあるのか、今回はもう少し生産現場にフォーカスを当ててご紹介したいと思います。

ブラジルのコーヒー博士 フラビオ・ボレム氏がコーヒーのプロセシングとコーヒーの品質と安定性についてとても分かりやすく解説されています。

さっそくですが、伝統的な水洗式の場合、1袋(69kg)あたり3,240ℓの水が必要です。例えばコロンビアの生産者全体で360億㎥の水を使うことになり、これらは想像を絶する多さかと思います。

ただ、現実は少し異なります。多くの小規模事業者はある種のテクノロジーを導入し、400ℓ/袋の水で足りています。これはとても顕著な削減ですね。

加えてセニカフェ(コロンビアコーヒー生産者連合会の研究センター)の新技術を使用すれば80%の削減が可能で89ℓ/袋で足ります。この新しい技術はアフリカなどの異なる国々でもすでに使用され始めており、この技術は水資源の保全にとても大きな貢献をしています。

セニカフェのデータによると、コロンビアの小規模農家の50%はこのテクノロジーを使用しています。これによって、1,800万㎥の水をセーブでき、この量はカリ(コロンビアで3番目に人口の多い街)の200万人の人口へ水の供給を行うのに十分な量です。

ちなみに、他のプロセシングを見てみると、パルプドナチュラルでは48ℓ/袋の水を使用、ナチュラルでは水を使わずにプロセシングが可能です。

コーヒーの品質・安定性に最適でかつエコフレンドリーなプロセシングとは

そうはいっても、コーヒーの品質と安定性、そしてエコフレンドリーなコーヒープロセシングとはどういったものか、気になっている人も多いかと思います。

では、ここからはメカニカルデミューシレージング(機械的にミューシレージを除去した)プロセスとナチュラルプロセスについてお話したいと思います。

前者はコーヒーの品質が劣るかのように考えられることもありますが、セニカフェのデータを見ると品質に置いてナチュラルプロセスと大きな違いがないことがわかります。

私も過去5年間様々なプロセシングに関するデータを収集してきました。結果として、セニカフェの持っている意見と同様の結論に達しました。

コーヒーのカップクオリティを決定する要因として、最も重要なのは『遺伝子型と環境の組み合わせ』ということです。

異なる遺伝子型であれば、最良のカップクオリティを導き出すためには異なる環境が必要です。プロセシングのみではこれらの遺伝子型と環境が基となったカップクオリティを覆すほどの要因を生み出すのは難しいと考えています。

いうなれば、プロセシングは遺伝型と環境によるカップクオリティをより際立たせるためのものといえるでしょう。

(その後、細胞や分子、組織に関する難しい話が続きます。イメージがあった方がわかりやすいかと思いますので、ご興味ある方は動画をご参照下さい。)

結論としては、均一で完全な細胞がコーヒーの品質や安定性の重要な要素となっていると考えられます。

コーヒーの分子は生きた組織であり、細胞膜がどのようにして維持されているか。

それは、水分子が乾燥により細胞内から揮発した後に糖分が入れ替わり、構造を維持しているからです。つまり、うまく糖質が入れ替わることができなければ、細胞組織はバランスを維持できなくなってしまいます。

汎用品についてではなく、今はスペシャルティコーヒーについては、細胞膜が整っていて中に脂質や糖質が含まれており、組織が満たされている状態であることが大切なのです。

例えば、同じ産地、同じ品種、同じローストなど、条件を揃えたとしても、いくつかカッピングした内に、やけにオイリーなものが含まれていることがあります。時には、それはローストの問題だと言われてしまいますが、実は違うのです。

それは、プロセシングの間に、細胞組織のバランスが崩れ、オイルが細胞内に出てしまっていることが要因なのです。そういったものは、焙煎後、保管している間にも、すぐにカップクオリティは劣化していくでしょう。

なぜ細胞組織がバランスを崩すのか

では、なぜこのように細胞膜が破れオイルが出てしまうような事態になるのでしょうか。

それは乾燥期間に起こりうると考えられます。過去数年間の研究で、ナチュラルプロセスのコーヒーはウォッシュドプロセスのものよりも熱によるダメージに繊細なことがわかりました。

昔から、ナチュラルプロセスはウォッシュドプロセスよりも高温で乾燥させることを推奨するとよく言われてきたが、これは全く正しくありません。特にスペシャルティコーヒーにおいてはあてはまりません。

プロセシングにおける最適な乾燥方法とは

では、ナチュラルプロセスではどのようにして乾燥させるのがよいのでしょうか。

世界のコーヒー生産者は乾燥時間を短くすることに努めています。

しかしながら、スペシャルティコーヒーでは温度を下げ、乾燥時間をある程度長くとることが必要です。その時、湿度に気を付けなければいけませんね。

温度を35-45℃の間で、いくつか実験をしてみました。

その結果、ナチュラルとウォッシュド両方にいえることですが、40℃以下(特に36-38度を推奨します)でゆっくりとしたエアフロ―で、1時間当たり、コーヒーチェリー1kgに対して13g以上の水分の揮発は避けてください。

そうすれば、とても鮮やかで美しいコーヒー豆を作り出すことができるでしょう。

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現在コーヒー栽培に置いて、水資源への配慮は欠かせないものになってきています。その上で、より安定した高品質なコーヒー豆をつくるには、その生産地域において最適な品種を見つけ出し、丁寧なプロセシングによってその個性を際立たせることで安定した供給が実現できるということでしょうか。そして、プロセシングにおける【乾燥】が重要なことは科学的な根拠をもとに解説をしてくれた通りです。

そうすれば、収穫後のプロセシングによる品質の劣化や劣化に伴う供給量の減少は避けることができそうです。

では、どうすれば根本的な収穫量を増やすことができるのでしょうか。今後そのあたりも調べてみたいと思います。

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