Re:co Symposium #2 "The Coffee Seed: A Forgotten Technology" by Hanna Neuschwander

November 14, 2018

前回は、SCA(Specialty Coffee Association / スペシャルティコーヒー協会)のエグゼクティブディレクター/常務理事 Ric Rhinehartのセッションで、現在のコーヒーの生産状況における問題点や、生産者の経済状況、そして消費国としての認識という現状を踏まえたうえで、今後のスペシャルティコーヒーの方向性、現在の問題を解決するための指針をご紹介しました。

 

今回は、World Coffee ResearchのCommunications Director(広報部長)であるHanna Neuschwanderのセッションをご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は今回の登壇で(1)コーヒーのサプライチェーン(特にその始まりとなるコーヒーの木)とテクノロジーの関りについて紹介し、(2)現在コーヒーの生産地が直面する気候変動、温暖化、病気といった課題を乗り越え、より品質の高いコーヒーの生産に向けて、チャレンジングではあるが、革新的なテクノロジーとの関わりで前に進んでいけると述べています。

 

実際にトレーサビリティを確保するための新たなテクノロジーとして、先日エチオピアでリリースされたブロックチェーン技術の開発発表も今後様々な国で必要となってくるでしょう。(https://www.ccn.com/cardano-to-help-ethiopia-grow-coffee-using-blockchain-tech/)

これからはIoT x COFFEEは密接なつながりを持ってくるテーマなのかも知れないですね。

過去数十年、コーヒー業界ではエスプレッソマシンに始まり、グラインダーや抽出技術、焙煎技術など、サプライチェーンのすべての部分にテクノロジーが入り込んでいます。

 

ただ1つを除いて。

 

それがコーヒーの種子です。

 

コーヒーの種子はとても特別で、タイムカプセルや歴史書のようであり小さなコンピューターとも言えます。

あの小さな種子の中に膨大な遺伝子データが組み込まれており、カフェインの効用、フレーバーやアロマ、また健康面では抗酸化作用についてもテクノロジーを活用することでコントロールできるかも知れません。これだけすべての始まりにあるコーヒーの種子に、今までテクノロジーが入り込まなかったのです。

 

現在、生産環境においては気候変動、温暖化、コーヒーの病など多くのストレスがかけられています。今後、このような課題をいかに解決するかもしくはコーヒーに耐性を持たせるかが重要になってきており、そこにはテクノロジーを活用した取組みが期待されます。

 

ちなみに、本当にコーヒーの種子に対して技術革新は起こらなかったのでしょうか。

コーヒーマシンと比較してみると一目瞭然です。コーヒーマシンは1976年から今日までに3,352回もの改善が施されています。一方でコーヒープラントに関しては約36回、マシンの1%です。これらの数値は必ずしも100%正しいわけではないけれど、基本的なイメージはつかめるはずです。

 

では、なぜコーヒープラントの技術革新は起こらなかったのでしょうか。

 

理由として3つ考えられます。

1つ目に、コーヒーの生産国は往々にして途上国であり、しっかりとした研究機関が存在していないことがあげられます。

 

2つ目に、気候変動に順応してきたこと。つまり、温暖化によりコーヒーの木に関する病気が広がってしまったが、一方で高地でも他の作物が栽培できるどの気温上昇がおこり、コーヒー栽培をやめ、他の穀物に植え替える生産者が増えてしまったのです。つまりコーヒーの木を改良する必要がなくなってしまったのです。

 

3つ目として、プライベートセクターとしてコーヒー研究に対して、ほとんど投資がなされなかったことです。他の穀物の場合、R&Dへの投資を積極的に行っているが、コーヒーはそうではなかった。

尚、世界銀行の統計によると農業分野の研究でのROI(Return on Investment)は35-50%と算出されており、投資がとても有効なセクターではあります。

 

技術革新は緩やかであるが、ゼロではなかったようです。

 

1970年代には、カチモールのように病気への抵抗力のある品種改良も行われていました。ただ、それらのカップクオリティが劣っているというのが残念なことでした。

 

現在のコーヒーのブリーダーに求められているのは、安定した生産量、病気への抵抗力、

生産者にとっての高い歩留まり率、品質の改善、気候変動などへの抵抗力です。

 

膨大な数の遺伝的組み合わせを試験、選別し、現在は組合せのベースとなる遺伝子プールとして50種類に絞っています。コーヒーの木は3年で実をつけるが、その前に約30年間も組み換えの実験や新たな品種の特性などをまとめたりするために時間を要していました。

 

一方で、化学的な交配研究も依然として有効です。それぞれの品種の特性を元に化学的アプローチを用いて有効に交配させ、実際の研究時間をぐっと短くさせてくれます。

 

World Coffee Researchの発行しているカタログでは、それぞれの品種の特性を理解することができ、生産者がその土地に合った品種や取扱について情報を得ることができます。

 

これからのコーヒーの将来はどうなるのか。

 

イノベーション、テクノロジーを駆使し、様々な問題を解決していくことがWorld Coffee Researchの設立された目的であり、それがあるからプライベートセクターからの投資によりサプライチェーンの始まりからテクノロジーの導入が可能となります。

 

コーヒーの種子を改善できるのか。

答えはもちろんです。

 

歩留まりの改善、病気への耐性、気候変動への耐性など、生産者が必要としているものと我々が求めていることすべてがコーヒー産業が次の100年に向かって前向きに進む原動力となります。

本日皆さんへの課題として:このセクターにおけるイノベーションを自分たちにとって良い機会として捉えて、是非取り組んでいただきたいと思います。

THANK YOU.

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