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Producing Countries News Letter ~Africa~

THE COFFEE TIMES

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Vol.

RWANDA

07

2021

About Rwanda

・人口:1,267万人(2020:IMF) 
・首都:キガリ
・言語:英語,ルワンダ語,英語、仏語
・主要産業:農業(コーヒー、茶等)
 ・名目GDP:103.7億ドル(2019:IMF)
 ・経済成長率:9.4% (2019:世銀)
 ・失業率:15.3%(2019:推定)

Coffee in Rwanda

・生産量(2019/20):38万袋(各60kg袋)

 ・生産国ランキング(2020):第23 位
・国内でのコーヒー産業:

アフリカ大陸のほぼ中央に位置す るルワンダは、一部の山岳地域を 除き国土のほぼ全域がなだらかな丘陵によって覆われているため「千 の丘の国」と呼ばれています。1889 年にはドイツの植民地に、第一次 世界大戦後はベルギーの植民地と なり、1962年に独立を果たしました。

コーヒーの生産においては、1917 年に初めてコーヒーの輸出が行わ れましたが、ベルギー政府は栽培 当初から輸出用の安価で低品質のコーヒーを大量に確保するために ルワンダ人にコーヒー栽培を義務付けていました。

ベルギーが撤退したあとは一部の 人々がコーヒーの栽培を植民地時 代の象徴と捉え管理を放棄する一 方、多くの人がコーヒー栽培の経済的価値を認識し栽培を継続していました。

その結果、1970年代には総輸出収 入の70%を占めるまでに成長しまし た。1980年代末から1990年代初 頭にかけてはコーヒーの国際価格 の大暴落などの影響を受けるなど、 困難な状況が続いていました。

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そして、1994年のジェノサイド、それに伴う約210万人の難民の周辺国への流出、その結果国は壊滅状態になりました。

同時にコーヒーの生産量は 大幅に落ち込み、60kgバッグ換算で40万~60万袋程の輸出量が2.2万袋に激減しました。

その後は、ジェノサイドを終 結に導いたカガメ現大統領 の尽力もあり、「アフリカの優等生」と呼ばれるほどに復興を成し遂げ、現在はコーヒー産業だけでなくIT分野にも力を入れています。

コーヒーの輸出量で見ると、ジェノサイド以前の水準には 戻ってはいませんが、現代 のルワンダではコーヒーの質を重視した生産が行われており、小さいコーヒー畑を有効活用しスペシャルティコー ヒーに注力しています。

国土のおよそ75%を農業に使用し、人口の約35%が農 業従事者で彼らの収入の少 なくとも一部はコーヒー産業に依拠しています。

とても小さな国ではあります が、世界のコーヒー生産量で見ると23番目に位置し、 全体の約0.2%を占めていま す。年間生産量は38万袋(1 袋あたり60キロ)で、その生 産されたコーヒーのほとんどはスペシャルティコーヒーと して扱われるアラビカ種です。

その品質はアフリカ最初の Cup of Excellenceのホスト 国に選ばれるほど高く、世界的なコーヒー産地として認め られています。また、缶コー ヒーに使われるロブスタ種の生産も一部で行われていま す。品種によって収穫時期 が分けられており、アラビカ種は3~8月、ロブスタ種は5 ~6月の間に収穫されます。

現在のコーヒー産業の回復は、政府による力強いサ ポートと、諸外国からの投資 による貢献が大きく飛躍的な回復を見せました。

以前は農家自らが自宅で精製を行い品質は家庭の環境 に左右されるので、結局は 低い品質のコーヒーとなってしまっていました。

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それに対してルワンダ政府はコーヒー品質を 向上させるために生産地域に新しい精製工場(CWS)を建設することを推奨しました。 2001年に最初のCWSが建設され、現在は 300を越えるCWSがあります。

CWSの建設の背景にはスペシャルティコー ヒーブームの影響によるウォッシュドが推奨さ れたことも一つ挙げることができます。CWSの建設はUSAIDの支援のもと2004年 から加速され、2013年には220ものステーションが設立され、ルワンダコーヒーの輸出 量を40%も増加させました。

さらに、貿易における輸出設備が確立されたことやNGOや企業からの国際基金により、今日のルワンダのコーヒーは支えられています。

また、ルワンダでは小規模農家によってコーヒー栽培がなされていますが、その手法の多くは有機肥料を使わない自然栽培が取り入れられています。

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最近の生産量とポテト臭

 

生産量のピークは2003/2004で45万袋が 輸出されていましたが、2013/2014には25万袋まで下落しました。原因としては、コーヒー の葉や実が伝染病によってうまく実らなかったことが挙げられます。

伝染病の一つとして 有名なのは焙煎後のコーヒー豆からポテト臭 がすることです。未だにはっきりとした原因は見つかっていないのですが、最も有力なのは Antestia Bugという東アフリカに生息するカメムシの一種です。この虫がコーヒーチェリーを食べる際につけた傷が原因で、バクテリアなどが侵入することでチェリーの発酵時にポテト臭のもととなる酵素反応を起こすと言わ れています。

これはルワンダのコーヒーだけ でなく、周辺のブルンジやコンゴ民主共和国、稀にケニアやタンザニアのコーヒーにも見ら れることがあります。

ルワンダにおけるコーヒー産業の歴史は国政の動向により大きな変化に見舞われてき ましたが、このルワンダのコーヒー産業の回復は他の開発途上国の経済発展における一つのロールモデルにもなるのではないで しょうか。

続いてルワンダの経済データを少し見てい きたいと思います。IMFデータによると、2020年の一人当たり GDPは818.99ドルですが、隣国ウガンダと 同水準ではあるものの、サブサハラアフリカの中でも先行して海外投資などを受け入れ経済発展が進んでいるケニア、ナイジェリアなどに比べると、まだまだ半分にも届いていない状態です。

つまりはまだまだポテンシャルがあると考え ることができます。その為、ルワンダ政府は 海外からのビジネスビザの発給手続きの簡素化など、海外からの投資受け入れに向けて諸制度を整え、準備を進めています。 日本企業でも既にルワンダでビジネスを展開している企業が増えています。(次ペー ジ参照)

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また、ルワンダについて話をする中で、特筆すべきことがあります。それは女性の社会進出が特に進んでいるという事です。

ルワンダではヨーロッパからの植民地時代の名残から、農業において女性の自立した 権利や行動は剥奪されていました。そこで女性の地位を確立するために、農業に必要な技術や知識を学び、広い視野を持って社会と関わることができるような活動が進 められました。

現在は国会における女性議員の割合は6 割以上と世界トップクラスであることや、女性の就業率(ILO基準)ランキングで世界1 位(2014)、世界経済フォーラムではルワン ダのジェンダーギャップ指数は世界6位であると報告されています。

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このような男女平等を実現するためにコーヒー産 業は、ロールモデルとして役割を果たしています。 ルワンダのコーヒー生産者組合、Kopakamaは 女性自身が育てたコーヒーをWomen’s Coffee として販売していくことを始めました。英国国会 でもこのWomen’s Coffeeは販売され、女性の 名前でその存在をしっかりと示すコーヒーを通じ て、国境を越えた新しい連帯が生まれています。

続いて、ここからはルワンダで活躍する事業者 の紹介に移ります。

 

【DMM. Africa】

2010年、MIT(マサチューセッツ工科大学)の インキュベーション・プログラムに参加したルワン ダの大学生グループによって、HEHE LABSと いうスタートアップがルワンダの首都キガリで設 立されました。

ちょうどアフリカへの進出を始めたDMMと HEHE LABS(ヘヘラボ)創業者の一人であるク ラリス・イリバギザが出会い、DMMの子会社化 に合意し事業拡大に乗り出しました。

事業内容としては、ECプラットフォームの運営と 生鮮食品のオンライン販売です。

ECプラットフォームに関しては、日本でいう楽天 市場をイメージするとわかりやすいかと思います。 ショップ出品者は出品や在庫管理、顧客管理な どがこのプラットフォームで完結できるようになっ ています。

このプラットフォームを利用して、“HeHeMart” という生鮮食品を取り扱う自社ECサイトを立ち上 げた。顧客のニーズと生産者をつなぐ架け橋と なるような運営を目指しています。

 

【The Kahawatu Foundation, Sucafina Rwanda (Rwacof)】

農家へのトレーニングや農業規範を作り、農家 の経済状況を発展させることに注力するなどルワンダの農業開発を行っています。Rwacofが運営するFarmer Field Schoolでは、熟したチェリーのみを採取することの重要性や 保存方法などの農業における最適な作業方法などの情報をすべての農家に共有しています。

【Techno serve】

およそ30カ国で競争性のある農業の実現や ビジネスや機関の発展を支援する非利益団体。コーヒーバリューチェーンにおけるあらゆ る段階を支援しています。

例えば、ウェットミル(コーヒーチェリーの果肉除去を水を使って行うこと)のサポートを行い、適切な水洗方法や乾燥方法を指導していま す。さらに、農家へのビジネストレーニングを行い、適正価格や財政管理、輸出業者への価格提案の仕方も指導しています。 その結果、ルワンダのコーヒー農家の収入平 均は62%上昇させることに成功しました。

【Tiger Mov】
神戸にあるIT企業。STARTUP AFRICA in Rwanda 7th Batchプログラムを行なっています。
STARTUP AFRICAは、現地のリーダー達と 共にアフリカの未来を作り上げる人財を育成 するために2017年に始まりました。ジェノサイド後の急激な経済回復に注目し、ICT人材など「人」への投資を重視しているルワンダのリアルを体感するプログラムで、アフリカの社会・文化・経済の理解を通じて様々な規模のビジネスの視察など、多彩なバックグラウンド を持つ参加者との交流を深め視野を広げることができます。

【神戸市】

神戸市は2016年からICT立国を目指すルワ ンダとの経済交流を積極的に進めています。特に、ICT分野ではルワンダ政府やキガリ市との覚書を締結するなど、パートナーシップ の強化に取り組んでいます。

主要施策としては、ルワンダで開催されるアフリカ最大級のICTイベント「トランズフォー ム・アフリカサミット」に出展や、ビジネスミッ ションを派遣し改新的なビジネスの現場を視 察やルワンダの企業と日本の企業のマッチングを目的としたセミナーを開催しました。さらにルワンダにおけるICT人材育成支援を行 い、神戸情報大学院大学の卒業生がルワンダの若者へ指導を行うなど、若者の就労促進とICT産業の育成への貢献を目指していま す。

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RWANDA KININI COFFEE

ルワンダコーヒーの極北 ルリンド地区千の丘の 国と呼ばれる肥沃な丘陵地で栽培されるルワンダコーヒーは、その品質水準の高さで、近年のスペシャルティコーヒー市場で、ゆるぎない定評を受けています。

そのルワンダのコーヒー生産地の中でも、これまであまり注目されることの無かった北部ルリンド地区で、新たにトップスペシャルティの生産が始められています。ルリンド地区の最高部で 2400メーターにも達する耕地は、豊かな土壌に恵まれ多くの農家が古くからキャッサ バ、豆類、野菜などを生産しています。

しかし、 各農家の作付面積は小さく、安定した現金収入のない農家の生活は、子供の教育費にもことかくような水準でした。

英国で建築会社を経営し、ルワンダ西部で小学校を経営するなどの慈善事業を展開していたマルカムと、ルワンダ出身のジャクリーンの二人のパートナーが設立したR&B Import Export社が、ルリンド地区の農家にコーヒー栽培の指導と援助を始めたのは2012年のことで す。

彼らは、先ず農家にコーヒーを生産することが 農家の生活向上につながることを丁寧に説明し、 作付けした農園が生産年齢に達するまでの生産指導と資金援助を約束し、その見返りに今後彼らの経営するキニニ水洗工場にチェリーを販売する契約を交わしました。

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農業指導は、苗の作付から、病害防除、枯草 などを使った表土保護など多岐にわたりました。 現在までに600軒を超える農家がこのプロジェクトに参加しています。 そして、2016年に最初の本格的なチェリーの収 穫が始まり、その品質の高さは、期待通りの最 高級レベルであることが確認されました。
その品質は、ルリンド地区の豊かなテロワールを構成する標高の高さ、土壌の特殊性に支えられ、さらにキニニ水洗工場での徹底した品質管理により安定したものとなっています。
キニニ村は、このプロジェクトが最初に始められた場所で、ルリンド地区のいくつかの村の中でも 品質が特に安定しています。
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(商品情報)

●生産国:ルワンダ
●地域:ルリンド地区
●生産者:キニニ村
●品種:ブルボン系
●標高:1,800-2,250m
●精製方法:水洗式

●香り:ブラックティ、オレンジピール、シュガー ケーン

●肥料等: 牛糞等の有機肥料が中心。 有機ピレスリンを農薬として使用し、ポテト臭の原因と疑われるアンテスティア虫等を駆除している。

●チェリー集荷から水洗、乾燥工程:

    集荷時未熟チェリーを手選別

 →ディスクパルパーで脱肉

 →自然の湧き水を使い浸水した状態でのウェットファーメンテーション=20時間

→水路を使った手作業の水洗とパーチメントグレーディング

→ソーキング
→ウェットパーチメントを手選別

→アフリカンベッドで15 日から18 日天日乾燥

→乾燥中もパーチメントを手選別
→脱殻
→輸出選別はキガリのCBC(Coffee Business Center)社ドライミルで、最後は手選別で仕上げ られる。

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